セラミックの歯が欠けた!修理と再治療の違いとは?

セラミック治療を受けて「見た目も自然でツヤもあり、まるで自分の歯みたい!」と満足していたのに、
ある日、ふと鏡を見たら――「欠けてる!」。
そんな経験をされた方も少なくありません。
セラミックは高い審美性と耐久性を持つ素材ですが、万能ではありません。
今回は、セラミックの歯が欠けてしまったときの「修理」と「再治療」の違い、
そして欠けを防ぐためのポイントを、補綴専門医の視点から解説します。
セラミックの歯はなぜ欠けるのか?
セラミックは硬くて変色しにくいという大きなメリットがありますが、
衝撃にはやや弱いという性質を持ちます。
主な原因は以下の通りです。
- 強い噛みしめや歯ぎしりによる応力集中
- 前歯の噛み合わせ不良(特定の歯に負担が集中)
- 硬い食べ物(骨付き肉・氷・爪など)を噛む習慣
- 装着後の経年劣化や接着剤の劣化
- 内側の天然歯の破折
実際の臨床では、噛み合わせの調整不足やナイトガード未使用が原因で欠けるケースが多く見られます。
欠けたセラミックは「修理できる」のか?
セラミックがわずかに欠けた場合、**修理(リペア)**で対応できることがあります。
具体的には、
欠けた部分を研磨して滑らかに整えたり、専用のレジン(樹脂)を接着して補う方法です。
修理が可能なケース
- 欠けがごく小さく、内部の金属や土台が露出していない
- 咬合力の影響が少ない位置(前歯の一部など)
- 接着面が確保できる状態である
修理は1回の処置で完了することが多く、費用も抑えられます。
ただし、レジンで補った部分はセラミックほど強くないため、
再び欠けるリスクがあります。
修理ではなく「再治療」が必要なケース
欠けが大きい場合や、セラミックが土台ごと外れてしまった場合は、
**再治療(再製作)**が必要になります。
再治療となる主なケース
- 欠けが大きく、セラミック全体の強度が失われている
- 土台の歯(支台歯)にむし歯や破折がある
- セメント(接着剤)が劣化しており、浮きや隙間ができている
- 根管治療の必要がある
再治療では、セラミックを一度除去して再形成・再印象を行い、
新しいクラウンを製作します。
見た目の美しさを再現するため、色調や形態の微調整が重要になります。
修理と再治療の違いまとめ
修理 | 再治療 | |
---|---|---|
対応範囲 | 小さな欠け・表面のヒビ | 大きな欠損・脱離・土台の破損 |
処置内容 | 表面研磨・レジン補修 | クラウンの再製作 |
所要時間 | 1回(30〜60分) | 2〜3回(印象・セット含む) |
費用目安 | 数千円〜1万円程度 | 約10〜15万円(セラミックの場合) |
審美性 | やや低下することも | 新品同様に再現可能 |
欠けを防ぐためのポイント
- ナイトガード(マウスピース)を装着
歯ぎしりや食いしばりのある方は必須です。 - 定期的なメインテナンス
噛み合わせや接着状態を定期的にチェックします。 - 硬いものを噛まない
氷、ナッツ、骨、爪などは避けましょう。 - 正しいブラッシング
過度な力で磨くと歯頸部(根元)が摩耗し、応力が集中します。
まとめ:欠けたらすぐに歯科医院へ相談を
セラミックは非常に優れた補綴素材ですが、
欠けや割れを放置すると見た目だけでなく、
むし歯や歯根破折のリスクも高まります。
欠けた箇所の大きさや位置によって「修理」か「再治療」かが異なります。
必ず早めに歯科医院で診断を受け、
今の状態に最適な処置を受けましょう。